👵🏼 ありがた〜い チムシンジー

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大嫌いな チムシンジー

えーりはチムシンジー(レバー汁)が大嫌いだった。

レバーのあの独特な匂いと、肉というのにザラつく食感がどうしても好きになれなかった。

なのに子供の頃はそれが定期的に食卓にあがった。その時のテンションは真っ下がり。レバーをひと口に含んだらご飯を頬張りレバーの味を誤魔化したり、汁で流し落とすような食べ方をしていた。匂いが気になって息を止めて無理やり飲み込んだことさえあった。

そんなレバー汁を食べてた時だった。

オジー:そんな食べ方があるか⁉️ ご飯はまーさまーさ(美味しい、美味しい)と 感謝して食べるもんだ

と叱った。

えーりの食べ方は良い食べ方ではないのはわかる。でも、喜んで食べれるかっていうとそうではないのがレバー汁で、どうしても素直に「うん」とは言えなかった。美味しいとは思えないから言えなかったのだ。

正直いうと、一生レバー汁が出なければいいのにとさえ思いながら聞いていた。

それから暫く経ったある日、学校検診で妹みーちゃんの貧血が見つかった。治療が必要なまでの状態に母も祖父母も心配して食事に気をつけるようになったのだが、そのお陰で我が家ではレバー汁がかなりの頻度で食卓にあがるようになった。

えーりを含め、妹弟たちは渋々レバー汁を食べていた。いくら身体に良いからといっても苦手なレバー汁には流石に食欲は失せていった。

そんなある日、学校から帰って来ると母が台所で悪戦苦闘していた。傍から覗くと、そぎ切りしたレバーに小麦粉をまぶし、溶き卵を通し、パン粉をつけてレバカツの準備をしていたのだ。

それを見たえーりは、ギョッとした。

レバー汁の次はレバカツ?勘弁してよというのがえーりの本音だった。

あのご飯作りが得意な母がテロテロ レバーの下ごしらえは大変そうだったからえーりは聞いた。

えーり:またレバー? なんで? 臭くて美味しくないんじゃない?

母:レバー汁は美味しく食べれないでしょ。だから少しでも食べやすくしようと思って

えーりは「少しでも食べやすくなるように」と言った母の言葉にハッとした。なぜなら自分がまずそうに食べていたからだ。レバー汁の時は当てつけのように嫌そうな顔をしていたし、そうすれば作らないと思ったからわざとそうしていた。

「少しでも食べやすいように」という母の気持ちを知って申し訳なくなって、母を手伝おうと隣に並んで手がけた。

ところが何度やっても小麦粉とパン粉だけが手に絡み付くだけでなかなか上手くいかず、軍手のようになったえーりの手は手伝ってるのか、ジャマをしているのか分からなくなり途中で止めるハメになった。

料理上手な母には珍しくかなり時間はかかったもののやっと下ごしらえも終え、揚げたての熱々レバカツがテーブルに並んだ。

妹弟たちは「わーい、トンカツだーーー」と食いついたが、直ぐにレバーだと気づくとまたまたテンションまる下がり。

えーりはレバー汁とは比べ物にならないほど食べやすいレバカツを黙って食べた。母に目をやると、みーちゃんが食べるかどうかをジーッと見ていた。みーちゃんの貧血を治したい一心で作ったのだから気になるのは当然のことだ。

その時、母親っていうのは終始子供の健康を気にかけて食事を作っているのだとわかると、美味しくない、好まないからとふてくされていた自分が恥ずかしくなった。

お陰でそれ以降レバー汁に不満に思うことはなくなり、いつの間にか嫌いから卒業し、好きにまでなっていった。

そして、大人になって、母のように子をもつ親になると母と同じように嫌がるレバーをどうやって美味しく食べさせようかと考え、工夫する側になった。

臭みをとるために塩やお酒、ニンニクを使ったり、調理のレパートリーを増やし味の変化で食べやすくなる工夫を楽しむようになっていた。

今考えると、母のレバーとの悪戦苦闘を見ていなかったら、親心を知ることもなく、嫌いなままだったかもしれない。ましては調理を工夫するなんてことはないままだったと思う。そう思うと母には感謝いている。

オジーは「いつも感謝して食べなさい」と口癖のように言っていた。「感謝して食べたら食べ過ぎることもない」とも。

この歳になってやっとその言葉の意味が分かり始めたように思う。

もしも、全く食べるものが無いとしたら?

それでも目の前の嫌いで苦手な食べ物を拒否するだろうか?

食べ物、食事として在るには多くの人の手を通ってきたからだ。人の手を通さずして存在するものは何一つとしてない!

野菜ひとつとってもそう。

種を蒔き、毎日 水やりや害虫駆除をしながら育ててやっと収穫したかと思ったら、豊作になりすぎたり規格外は十分食べれるものでも処分される。そして新鮮なうちにと出荷を急がされる。

家畜は家畜で時間をかけて世話をしながら育て、そして病気からも守らなければならない。

私たちはそんな農家や酪農家たちのことを考えて食べているだろうか?

今一度、そんなことを思いながら目の前の食事、ご飯を見て欲しい。

先人たちは言う『ありがとうどぉ〜  ちゃ〜ありがとうやさ』と。

一言であるが人としての在り方、生きる姿勢が含まれているとえーりは思った。

 

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🍳レシピ『チムシンジ(豚レバーの汁)』

 

材料


・豚肩ロース - 200g
・豚レバー - 200g
・にんじん - 1 本
・じゃがいも - 2 個
 (形崩れしにくいのがお勧め)
・だしパック - 3 袋
・味噌 - 大さじ 3
・水 - 2 L
 
【レバーの下処理】
・塩 小さじ 2 × 2回分
・酒 大さじ 2

★容量は、あくまでも目安! 自分好みに足したり引いたりして「美味しく」食べてね!
 by:まーさん食堂スタッフ一同
 
 

下準備

・「にんじん」は、水洗いして 皮をむき、厚さ 1.5cmの いちょう切り にする。

・「じゃがいも」は、水洗いして 皮をむき、厚さ 1.5cmの 角切り にする。

・「豚レバー」は、1cm幅で そぎ切り にしてボールに入れ、「塩」小さじ2、「酒」大さじ1 を入れ、なじませたら水洗いする。
※これを2回繰り返しザルで水切りする。

・「豚肩ロース」は、幅1cm強、長さ6cmの棒状に切る。
 





 
 

(1)
鍋に「水」2L、「人参」、「豚肩ロース肉」、「豚レバー」を入れ火にかけ、沸騰してから 5分後に「だしパック」を入れ、5~10分したら取り出す。


※煮ている間にアクが出てきたら、こまめに取る。
 
 

(2)
「人参」が柔らかくなったら「じゃがいも」を入れ、「じゃがいも」が煮えたら「味噌」を入れて 完成❣️




※好みで青ねぎを散らしても良し❣️にんにくスライスを器に入れて飲んでも良し❣️
 
 
 
 
 

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真志喜 恵里子

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