今回 紹介するのは”大根の甘酢漬け”
これはえーりにとってソウルフードだと言える一品
真志喜家に嫁いで最初で最後の義母から伝授してもらったからだ。
初めて大根の甘酢漬けを食べた時、えーりの箸が止まらなかった。箸休めになるはずが逆に箸進めになっていると真志喜家の食卓で笑われたのを昨日のように覚えている。
義母から「そんなに美味しいね?」と聞かれ、「作り方を教えて」と、答えにならない答えを勢いよく返したえーりだった。
教えるまでもないと義母は言ったが、同じように作れるようになりたくて急遽 教えてもらうことになった。
作り方は至って簡単なものだった。誰にでもすぐに作れるもので、義母が言っていた教えるまでもないの意味がわかった。
箸休めにはもってこいで、特にクファジューシーとの組み合わせはヤバイ!
この組み合わせでは永遠に食べれるからおデブにはこの組み合わせで食べることはオススメできない。
それほど美味しい大根の甘酢漬けなのだ。
一人で作るようになってからというもの、我が家ではお酢と氷砂糖が切れることがなかった。いつでも作れるよう買い置きしているのだ。寒い日が続くと風邪予防にと多めに作り置きして、お茶うけとしても食べていた。下手なお菓子を食べるよりはずっと良いとえーりは思ったからだ。そんなこんなで大根の甘酢漬けはえーりのソウルフードになっている。
作り続けて慣れてくると、感覚で作れるようになる。
お酢の量はこのぐらいで〜、氷砂糖はこのぐらいで〜 「🎶」までついちゃってってな感じで軽やか〜に作れるようになっている。
子供たちも同じように好んで食べてくれた。
子供たちが中高生になった頃、鷹の爪を刻んで少量入れてみた。すると娘がかなり喜んで いつも以上に食べてくれた。それが嬉しくてさらに作る楽しみが増したものだ。
わさび入りも試してみた。 鷹の爪とは違って鼻をつくわさびの香りと辛味が大好評でこれもまた箸が止まらない味になった。
こうして、義母から受け継いだ大根の甘酢漬けはえーりに受け継がれて今は我が家の味となっている。
義母に教えてもらった時からだいぶ経った頃に義母から
「恵里子ー、あの大根の甘酢漬けを美味しいと言ってくれてありがとうね。教えて欲しいと言ったあの時、私はとても嬉しかったよ〜」と言った。
えーりはあまりにも唐突すぎる義母の言葉に言葉を失い ただ黙って頷いていた。
続けて義母は「自分は美味しいって思って作ってきたけど、家族には美味しいって一度も言われたことがなかったわけさ。ただ材料があるから作っていたら、恵里子に”美味しいから教えて欲しい”と言われてとても嬉しくなったさ〜。作り続けてよかったな〜って思ったよ。ありがとうね」と言った。
義母の話はただそれだけで終わったのだけど、その時、えーりは切ない気持ちと驚きで一言も返せなかった。
義母は気丈で負けん気の強い人だと思って煙たく見ていたからそんな義母が”美味しい”の一言に喜んでいたことが本当に意外だったのだ。
そのことをきっかけにえーりは義母のことを何ひとつ知らないことに気づいた。
ある日、義母に幼少期から結婚に至るまでのことを尋ねると義母は事細かく話してくれた。
幼少期は生家が多くの土地や田畑を所有し、金銭的に恵まれていたことや、畑仕事に忙しい両親に代わって二人の弟の面倒をみてきたこと。学童期には戦争があり、田畑を失っただけではなく、その戦争で父親が戦死。それからは母親(祖母)と義母とで家庭、家族を支えなければならなくなったこと。その頃はただ生きることだけで精一杯で、泣き言を言っているヒマなどなかったと話してくれた。
義母の話を聞いて、戦後の厳しい時代を生き抜くには自分の辛く淋しい気持ちなど扱っていられなかったことがわかった。気丈に振る舞うことでしか毎日をやり過ごせなかったことも伝わった。これが義母の若い頃の経験で、嫁いでからもさほど変わらない暮らしぶりだったと聞いて思わず「ご苦労様でした」と言っていた。
話の最後に「こんな話するのは初めてさ。いい思い出話じゃないから話すこともなかったけど、恵里子が聞くから話してしまった」と言った義母は肩の力が抜いたように見えた。
この大根の甘酢漬けは今では我が家の冬の定番になっている。
作り続けて40年も経った今でも作るたびに、あの時の義母の話と喜んだ時の義母の顔を鮮明に思い出す。
気丈で負けん気の強い義母のことを煙たがったこともあったが、大根の甘酢漬けを通して義母を理解できたことで二人の距離がぐっと縮まっていった。
義母の気丈で負けん気の強いさには変わりはなかったが、義母という人間を理解できたことはえーりの義母の観え方が大きく変わっていったことはえーりにとって大事なことを得たと思っている。
そんなことからえーりはこの大根の甘酢漬けを大事にしている。
だから大根の甘酢漬けはえーりにとってのソウルフードなのだ。
・大根 - 大 1/2本
・リンゴ酢 - 200cc
・氷砂糖 - 200g
・塩 - 大さじ1
★容量は、あくまでも目安!自分好みに足したり引いたりして「美味しく」食べてね!
by:まーさん食堂スタッフ一同
※切る厚さを変えることで、いろんな触感を楽しめて良いよ〜!
※お好みで甘さと酸味を追加してね〜❣
※恵里子さんは味変で、わさび味(粉わさびを使用)で食べたり、鷹の爪を足して食べたりしてるよ〜❣️
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