今日は嬉しい出来事の報告。
今回はえーりにとって孫嫁といってもいいヒロミがウチナー料理に挑戦した話。
そこから感じたことを伝えるね。
「今回のレシピはヒロミの中味汁にしよう」
そんなえーりのいきなりの無茶振りから始まった。
ヒロミは一瞬驚いていたけど、日頃からヒロミの作る中味汁を褒めていたからか喜んでいるようにも見えた。
えーりは、上手にできる、できないの前に、ナイチャー(本土の人)のヒロミが沖縄郷土料理の中でも難しく、手間暇がかかる、あの中味汁を作ろうと思ったことが偉いと思ったし、沖縄の郷土料理を好んでくれてることが嬉しかった。
※中味汁とは 豚の大腸や小腸、胃といった中身をすまし汁で仕上げた沖縄の郷土料理のこと
ヒロミの母親譲りの”食べることが好き過ぎる”ことにはホント感心させられる 笑
ここでのテーマでもあり、根幹の”食べることが好き”は、教えて伝わるものではないし、教えることが難しいから、この生まれ持った資質は評価に値する 笑
そうでなければ、あのクセのある中味汁を最初から好きになることは難しい 笑
ヒロミに作らせるには意図があった。
披露できる腕前じゃないと思っているヒロミに、沖縄の人でも中味汁離れが多い中、手間暇かかる中味汁を”作ってみたい”とか”作れるようになりたい”と思ったことが凄いことで、これから先も郷土料理を大切にして欲しいと思ったからだった。
めんどくさいことはやめて外食にすれば、簡単に美味しい中味汁は食べれるかもしれない。
だが、昔は当たり前だった家庭の味というものは薄れ、今では作れない4、50代の母親世代も少なくない。そのうち、中味汁が外でも食べれなくなることもそう遠くはないのでは?と危惧してしまう。
だから、ナイチャーのヒロミの中味汁レシピを取り上げたのだ。
いよいよ ヒロミの中味汁レシピの日が来た。
少し緊張気味のヒロミ。 日頃 アシスタントとして見てはいても、当事者のヒロミは初めての上にカメラアングルを気にしながらの作業になるので勝手がわからず かなり右往左往していた。
「普段通りでいいんだよ。普段 ヒロミが作るようにやって見せて」というと少し肩が緩んだようだった。「いいの? おばちゃんから教えてもらった通りにやるね」と言いながら、ヒロミなりの手際で進めていった。
ほとんどの行程が進み、いよいよ仕上げに入ろうとした時、味見をさせてもらったのだけど、、、、いつものヒロミの味ではない、、、と感じた。
どうなっている??? いつもはもう少し引き締まった感じなんだけど、今日のはボヤけてるな〜と感じた。
傍に着いてて 全行程を見ていたつもりでいたが、出汁取りを見ていなかったことに気づいた。ヒロミに出汁の割合を聞くと、なんと出汁パックのみの味付けだった。
それを聞いて、えーりは正直 驚いた。
中味汁を出汁パックのみで? 思いもよらないことだった。
今風の出汁の取り方に違う意味で感心した。
そこから鰹出汁を加えて味を整えていった。
鰹出汁と塩が加えられると、中味汁独特の味と香りが部屋中に漂って美味しい中味汁が仕上がったのだった。
今回、ヒロミに中味汁を作らせて本当に良かったと思う。
なぜなら、ヒロミが出汁パックだけで仕上げることが当たり前になってしまうのを改めさせることができたからだ。
最近の出汁パックはかなり優秀で、黙っていればわからないほど上質だ。なので美味しさはどうなのかというと遜色ないかもしれない。
しかし、微妙に違う。味見で感じたようにハマらない。しっくりこないのだ。このしっくりこないことが良かったと思った。
ヒロミが中味汁を義父である金城先生に最初に作って食べさせた時、「これも美味しいけど、ヒロミなりの中味汁を作れるようになるといいね」と言われたとヒロミから聞いたことがあった。
その時は何にも気にも留めなかったが、今回のことで基本的な出汁の取り方のことを言ってもらっていたのではないかと今 思う。
何事にも基本がある!
基本があってこそのアレンジ!
これは常日頃から金城先生が言ってくれている言葉。
どんなに遜色ないとはいっても、インスタントの出汁パックは助っ人になったとしても主役にはなれないとえーりは思っている。
特に郷土料理は基本あってこそだと思っているえーりにとって、鰹出汁抜きは考えにくく、基本無しではもはや郷土料理とは言い難いのではないだろうかとさえ思った。
鰹の出汁が中味をより一層際立たせ、なくてはならない間柄なんだと思っている。
余談になるが、えーりの子供時代は出汁パックが無い時代。
だから毎回堅い鰹節を削って出汁を取っていた。鰹節を削るのはどの家でも子供の役割で、大量の削り節が必要となると汗だくになって削ったものだ。台所では母親が叩く木のまな板の音。その傍でシャッシャッと鰹節を削る。それが当時の当たり前の光景だった。
そんな毎日がえーりの情緒を落ち着かせていたように今感じている。
どんなに便利な世になっても、変わってほしくないこともある。
えーりが木のまな板の音や、鰹節を削る音に情緒が落ち着き、歳を重ねても懐かしく感じることも、最近の台所事情では無いに等しい。そんな音ひとつにでも温かさやぬくもりを感じるのはえーりだけではないと思う。
そんなことからも、想いを伝える台所はいつの世も変わらず、女性、母親が大切な場として守り、伝えていきたいものだと今回のレシピで感じたことだった。
最後に
出汁パックを2、3袋入れて終わりではなく、ほんの少し、ほんの少し手を加えるだけで家族が満足の笑顔を見せてくれるかもしれない。それが忘れられない一口になるかもしれない。そんな一手間を惜しまないで作ってあげられるお母さん、女性になって欲しいとえーりは願っている。 少し手間がかかっても手を加えることを惜しまない。そんなちょっとの遠回りが出来る人でありたいとえーりは思う。
も お楽しみに~♪