今回取り上げた“お麩の卵焼き“は食感、口当たりを気にしないこのえーりが初めてギョッと感じたオカズ。
初めてこのお麩入りの卵焼きを口に入れた瞬間ギョッとしたのと同時に“だまされた“と思った。
「ブチュブチュして気持ち悪い!」と叫んで口から吐き出しそうになったのを見ていた母は「これはただの卵焼きだよ。ちゃんと食べなさい!」と。
いやいや、コレは無理。口を動かすたびに中ではぐちょぐちょ言うし、そのたびにうっすら塩味と卵ではない匂いが口の中に広がるのがとても違和感だった。
それ以上に久々の卵焼きに喜んだこの気持ちどうしてくれるんだ!とえーりはさらに不機嫌になった。
その日の晩ごはんは、最後まで欲求不満のまま、不機嫌に終わった。
えーりの子供の頃というのは、戦後14、5年しか経ってなくて、焼け野原の何にも無いとこからの復興だったらしく、卵一個も貴重だったと後になって、オジーから聞かされた。
2個の卵を家族6人で分けていたのだから、どれだけ貴重だったか今なら安易に分かる。
そればかりではない。
当時、両親は結核を患っていて栄養価の高い食事が必要だったが、ウチの家庭では食費にかける余裕なんてなく卵が唯一で、そんな中、母が考えついたのが卵のカサ増しに栄養価高めのお麩を使うことだったのだ。
えーりは子供だったから、家庭の事情なんてものは分からなかったが、大人になって家族をもち、家庭を運営していく中で母のやりくりと家族の健康を気にかけていたことが見えてきた。
分からなかったこととはいえ、子供だったとはいえ、不機嫌だったことを今は恥ずかしく思う。
えーりがそんなんでも、母のご飯作りへの気持ち、想いは老いても変わることがなかった。
美味しく食べれるようにと母は丁寧に作っていたし、美味しいと思えなかったのは、後にも先にもあの時のお麩入り卵焼きだけだった。
母のお麩入り卵焼きのお陰で、えーりは美味しく食べれるよう色々と工夫するようになった。今では苦手だったお麩も好きになっておかずのメニューにも彩りがつき、美味しいと言ってもらえるようになって今では好きな一品になっている。
最後に
十分でない食材のせいで期待ハズレの出来具合になることも、食材の組み合わせでこんなはずでは・・・💦と思ってしまうこともあります。でも、その失敗、不出来が次の美味しいに繋がることは間違いないので、失敗を怖がらず失敗から学んで欲しい。
あれ以来、母もお麩と卵の割合と、お麩の水の加減を工夫して美味しく仕上げてくれるようになっていました。
作り慣れて、こなれることで美味しいご飯作りに繋がります。
家族にとっての一番のシェフは お母さん、貴方なのですから楽しんで台所に立ってご飯作りにこ慣れて欲しいとえーりは思っています。
も お楽しみに~♪

