もしもこんな不動産屋があったとしたら、、、の巻

もしもこんな不動産屋があったとしたら、、、の巻

ある日、カフェの物件、土地探しで北へ南へと小堀と恵里子は車を走らせていた。その日はいつになく、2人の息がピッタリで不可能を可能にするぐらいの勢いで、過密スケジュールをスイスーイと氷の上を滑るようにスムーズに事を進めていた。

不動産屋さんに行くまでは、、、

その不動産屋というのは、代表こと功から「いい物件がありそうだから情報をもらってきて」というメールがあったからだった。

そこは何年か前にも功と何度か訪ねたことがある不動産屋さんだった。
その頃から耳がないおじさんだなーって思ってたけど、功は気が合ったんだね。

自分は事務所に居て、ウチらに行ってきて!って言うわけよ。

行くのはいいよ。

でも、難しいんだよ

耳のない人と話すって

だってウチも耳ないし、手話もできん。

無いもの同士で、でナニ話す?

その日は特に最悪だった

小堀がいたから

不動産屋に入ると、そのおじさん、挨拶も無し。

ひやかしの来客を見るような対応。沖縄あるあるのおじさん。

だから、気にも留めずに

「見たい物件があるんだけど」と切り出した。

そしたら、おじさん、ニョキっと立ってウチらのテーブルに来たわけさ。

ウチらのテーブルにくる前の通路に、なぜか電話線が宙ぶらりんに垂れ下がっているわけさ。

低めにね

それが歩くのをジャマしているわけよ。

おじさん、私たちを通したテーブルにつくにはこの電話の線をくぐらないと来れないわけ。

またぐには高すぎで、くぐるには低すぎるって感じでね。

メチャ中途半端!

オマケにおじさん半身マヒがあるらしく、片腕は肘から直角に曲がって、片足は引きずっての移動なんで、大変そうだなーって見てたわけ。

バリアアリー(バリアフリーの逆)はリハビリに良いと言われているけど、そこまでしなくてもいいと思った。

だってさ、完全に仕事に支障きたしているのにな!

物件の資料を見せるたびに棚とウチらのテーブルを行ったり来たりしているんどけど、その度にその線をくぐるわけよ。

それを何度も見ているうちに、気が気じゃなくなって「もう資料はいいですよ」って、コピーを止めようとしたら、小堀がトイレ借りたいって言い出して小堀もまたその線をくぐったわけよ。

えーー、この線、本当にどうにかならないもんなの?

いつかひっかけるんじゃないの?って思いながらおじさんを監視するしかなかった。

だって足引きずってるんだから転びそうで怖いさーね。

そんなんしているうちに、小堀がトイレから戻ってきたわけ。

「トイレ大丈夫だった?」って聞いたら小堀、首を横に振って笑い出したわけ。

聞かなければよかったぁ、、、

それを見たウチ、なんかわからんけど小堀の笑いにやられちまった。

なんかわからんけど笑いが止まらない。

たぶん、あの時、2人は違うことで笑ってたんだけど、相乗効果っていうの?

笑いが笑いを誘って大笑いになったわけよ。

どんな相乗効果よ!

おじさんに気づかれないようにと私は声を殺して笑ってて、笑いが落ち着いたから、小堀は大丈夫かな〜って隣の小堀を見たわけさ。

そうしたら、小堀の体が上下に動いているわけ。

クククって笑い声をもらしながら。

いくら耳がなくてもあの小堀の笑い声だよ聞こえてしまうだろうが!

もう、小堀と目を合わせないように、笑わないようにと必死だった。

こうしてやっとの思いで笑いから逃れたかと思ったら、小堀なんて言ったと思う?

「志村けんのもしもこんな不動産屋さんがあったならみたいだね」って。

ウチ、思わず小堀の口をふさごうかと思ったよ。

やっとの思いで笑いを鎮めたかと思ったら、志村けん?

しっかり白塗りのバカ殿が浮かんできて、目だけじゃなく、鼻からも笑い涙が出るしまつ。

幸にしてウチらの笑いはおじさんの耳には届かず、事なきを得たんだけどトドメはおじさんだった。

あんなに歩きにくそうに、くぐりにくそうに電話線をくぐって往来してたのに、最後、コピーを仕上げてウチらに手渡そうとしたその時、電話機をヒョイと持ち上げて、線を引っ張っているとこへと移動。

通路から線が消えて、おじさん、くぐることなくウチらのテーブルについたわけさ。

「コラーー!初めっから電話よけろや💢」

「なんで、線くぐった💢」

「ウチがどれだけハラハラドキドキしたかわかっとんのか💢」

騒ぐ騒ぐ心の声

ウチら、笑いとハラハラドキドキで疲れきって、足早に不動産屋を出た

車の中、小堀と二人顔を見合わせて割れんばかりに大笑い

涙ながしてね

やっぱ、ここの不動産屋さんは功に任せるべきだったと反省した。

出ているついでにってことだったんだろうが、ついでは良くないね。

特に今回のついではリスクが高すぎだ❣️

ハラハラドキドキは楽しいことだけで良い!

おじさんを目の前にドキドキするのは違う❗️とウチは思ったね。

小堀は楽しそうだったけどね

笑笑笑

次は、このおじさんの情報がどういった物件だったのかを伝えるね。

お楽しみに💓💕

フ〜〜

なぁ~~~~んにもいえねぇ~~

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